
「ハワイ」はポリネシア語では「ハワイイ HAWAI'I」と発音します。観光で訪れるハワイは美しい南国リゾートというイメージが強いでしょうが、日本語教師の私たちにとっては学ぶことがとても多い場所なのです。毎年実施している現地教育実習研修では、ハワイ大学をはじめ、小学校、高校、成人スクールなどを訪問し、たくさんの現地の方々にご協力いただきながら、ハワイで日本語を学ぶ人、教える人たちとの心の交流を行ってきました。研修期間中には、先住民や移民、日系人の歴史や文化を学んだり、ロコと呼ばれる現地の方々と交流したり、と観光旅行では見ることのできないHAWAI'Iにふれてもらっています。
では、なぜ日本語教師の研修が「ハワイ」なのか。それは「多文化共生社会」であるハワイを知って欲しいからです。ハワイにはマジョリティが存在しません。人口構成は23%が白人系、23%日系、次いで20%ポリネシア系、フィリピン系、中国系などと続くのですが、それぞれがネイティブの文化や習慣を主張しながらもお互いを尊重してひとつの社会を築いています。人や物が国境を超えて動く21世紀では「多文化社会」は世界の共通現象といえます。少子化が進む日本でもこれから外国人居住者が増えていくことでしょう。その時に隣人になる「外国人」と仲良くする知恵をハワイで学んで欲しいのです。
もちろん日本語学習者数が多いことも研修地になる理由のひとつです。ハワイでは小学校〜高校から大学までかなり高度な日本語教育が行われています。それは日系人の存在が、古くから日本語教育の土壌を築いていたことが現在のハワイに継承されていることが大きく影響しています。1986年(明治元年)に初めて日本人移民がハワイに渡ってから、母国語として教えられてきた日本語は、パールハーバーの奇襲攻撃(1941年)から始まる太平洋戦争を機に敵国語になり、そして戦後は外国語へと変化しましたが、それぞれの時代に必要とされる日本語教育が行われてきました。
また全観光客数の2割でしかない日本人が、観光収入全体の4割を消費していることも理由のひとつです。「日本語ができる=高収入」はハワイの常識になっています。ホテル、ショップ、レストラン、ツアー、不動産などのサービス業ばかりでなく、銀行員、弁護士、警察官なども日本語ができれば重宝されます。早朝や夜間などの成人が日本語を学ぶ教室もいつもとても賑わっています。
この研修は観光旅行ではありませんが、もちろんフリータイムには存分にハワイを楽しんで欲しいと思います。天の川がかかる空、海亀がやってくるビーチ、緑豊かな山々など美しい自然を見て、スポーツや買物、最近はやりのスパなどでリフレッシュしてほしいです。そして何よりアロハスピリッツで研修生を迎えてくれる地元の方(ロコ)たちとの交流で美しい心(魂)を取り戻してほしいと思います。